相続で不動産を共有するとどうなる?持分でできることやトラブル例を解説

2023-09-26

相続で不動産を共有するとどうなる?持分でできることやトラブル例を解説

この記事のハイライト
●不動産の共有とは1つの不動産を複数人で所有すること
●共有で相続した不動産は共有者全員の同意がなければ売却することができない
●不動産を共有すると固定資産税や管理費の支払いをめぐってトラブルになることがある

相続人が複数存在し、相続財産に不動産が含まれる場合、不動産の相続方法はいくつかあります。
その1つが、不動産を遺産分割せずに「共有する」という方法です。
しかし、不動産の共有は相続トラブルに発展するリスクがあるため、注意しなければなりません。
そこで今回は、不動産の共有とはどのようなものなのか、共有持分でできることや起こりうるトラブルについて解説します。
大阪市で不動産を相続する予定がある方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。

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相続した不動産を平等に分割する方法?共有とは

相続した不動産を平等に分割する方法?共有とは

不動産を相続する際、相続人が複数いるケースがあります。
不動産は現金のようなわかりやすい分割はできないため、平等に分割する方法について話し合わなくてはなりません。
不動産を分割する方法には「換価分割」「代償分割」などがありますが、不動産をそのまま複数人で所有する方法が「共有」です。
ここでは、「不動産を共有する」とはどのようなことなのかについて解説します。

不動産の共有とは

相続における不動産の共有とは、文字どおり、被相続人の不動産を複数の相続人で所有することです。
不動産は物理的に分割することが難しいため、所有権を均等に分けて公平さを保つ方法だといえます。
相続の場合は、法定相続分をそのまま所有権の割合とするケースが一般的です。
たとえば兄弟3人で不動産を共有する場合、共有持分はそれぞれ1/3ずつになります。
共有持分とは、不動産に対して相続人それぞれが持つ所有権の割合のことです。
共有は不動産を複数人で公平に相続できる方法ですが、不動産をめぐる権利関係が複雑になるという特徴があります。
不動産の売却や管理について意見が合わなかったり、相続が発生するたびに共有者が増えたりと、トラブルを生む要因は少なくありません。
複数人で不動産を相続した際は、とりあえずの対策として共有を選択するのではなく、共有持分の特徴やデメリットについても理解しておく必要があります。

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相続した不動産の共有持分でできる行為とは

相続した不動産の共有持分でできる行為とは

複数人で共有している不動産は、単独名義の不動産とは違い、自分だけの判断では進められない行為があります。
できること、できないことの内容は、共有持分の割合によっても異なるので注意が必要です。
ここでは、不動産の「保存行為」「管理行為」「処分行為」について、共有持分とできることの関係性を解説します。

保存行為とは

保存行為とは、不動産の現状を維持するための行為です。
たとえば雨漏りしている箇所の修繕や、不具合のある水回りの交換などは、不動産の価値を守るための保存行為とみなされます。
保存行為は共有持分の割合に関係なく、単独でおこなうことが可能です。
ただし、ほかの共有者に相談せずにおこなった修繕の費用などは、あとから請求しても支払いを拒否されるケースがあるので注意しましょう。
なお、下記の行為も保存行為に該当します。

  • 不法占拠者への明け渡し請求
  • 相続登記の手続き
  • 地役権設定登記請求
  • 無権利者の登記抹消請求

基本的に、ほかの共有者にとっても利益になる行為であれば、単独でおこなえる保存行為に該当するという考え方です。
ただし、不動産全体の大規模修繕や、個人の希望で実施したリフォームなどは、保存行為ではなく「変更行為」にあたります。
変更行為は共有者全員の許可が必要な行為であるため、単独で進めないようにしましょう。

管理行為とは

管理行為とは、「不動産の性質を変えずに収益を出す行為」や「不動産の資産価値を高める行為」などです。
具体的には、賃貸物件としての短期間の利用や、リフォーム、リノベーションなどが管理行為にあたります。
ここでいう短期間とは、借地借家法が適用されない期間のことであり、土地の賃貸であれば5年以内、建物の賃貸であれば3年以内です。
管理行為には、共有者の過半数の同意が必要になります。
過半数であるかどうかの判断は、人数ではなく共有持分の割合でおこなわれるので注意してください。
たとえばA、B、Cの3人がそれぞれ1/5、1/5、3/5の割合で不動産を共有していた場合、AとBがリフォームに賛成していたとしても、Cの同意が得られない限りはリフォームを実施できません。

処分行為とは

処分行為とは、「建物の解体」「賃貸物件としての長期間の利用」「不動産の売却」などです。
変更行為とも呼ばれており、実施するには共有者全員の同意を得なければなりません。
前項で、賃貸物件として短期間利用する場合は過半数の同意があれば可能とお伝えしましたが、長期間の場合は共有者全員の同意が必要です。
また、共有の土地に新たな建物を建築する場合も「変更行為」とみなされます。
相続した不動産が長く空き家の状態になっていたとしても、単独の判断で解体や売却をすることはできないので注意しましょう。
相続した不動産が実家などの場合、思い入れの強さの違いなどで処分行為に対する意見が合わないケースがあります。
しかし、誰も活用する予定がなく、放置されている不動産なのであれば、早めの売却がおすすめです。
相続が重なって権利関係が複雑化していく前に、売却による共有関係の解消を検討しましょう。

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相続で不動産を共有することにより起こりうるトラブルとは

相続で不動産を共有することにより起こりうるトラブルとは

不動産を共有で相続すると、どのようなトラブルが起こりやすいのでしょうか。
ここでは、不動産の共有によって起こりうる主なトラブルについて解説します。

不動産の共有に関するトラブル1:メガ共有の状態になる

共有した不動産は、共有者全員の同意がなければ売却できません。
しかし、不動産が放置されたまま2次相続、3次相続が繰り返されていくと、共有者がどんどん増加してしまいます。
これが、メガ共有と呼ばれる状態です。
メガ共有になった不動産は、共有者全員の意思確認が困難になるだけでなく、共有者が誰なのかを把握すること自体が難しくなります。
不動産を売却したいと考えたときに、身動きが取れなくなっているケースも珍しくありません。

不動産の共有に関するトラブル2:維持管理の負担でもめる

不動産は、所有しているだけで固定資産税や管理費などがかかります。
また、定期的なメンテナンスや修繕をおこなう手間と費用も必要です。
しかし、共有された不動産は空き家として放置されるケースが多いため、誰がその維持管理を負担するのかでトラブルになることがあります。

不動産の共有に関するトラブル3:共有解消に同意が得られない

メガ共有や維持管理費に関するトラブルを避けるためには、共有状態の解消が有効です。
しかし、共有者の同意が得られないというトラブルはよく起こります。
その場合は、「共有物分割請求」によって共有物分割を求めることが可能です。
共有物分割請求をおこなうと、裁判によって「現物分割」「競売」「価格賠償」のいずれかの判断がなされます。
不動産の場合は現物分割ができないため、競売によって現金化してからの分割、もしくは価格賠償の方法が示されるでしょう。
価格賠償とは、共有者の誰かが不動産の単独所有者となり、持分を失ったほかの共有者に対して金銭で賠償する方法です。
共有物分割請求をおこなうと裁判所によって合理的な分割方法が裁定されるため、共有者の納得が得やすいという特徴があります。

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まとめ

不動産は、複数の相続人による分割が難しい資産の1つです。
しかし、安易に共有してしまうと、のちのちトラブルに発展するリスクがあります。
共有した状態のまま不動産を放置せず、なるべく早い段階で別の分割方法を検討しましょう。
将来的に活用する予定がない不動産なのであれば、売却による処分がおすすめです。


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この記事の執筆者

このブログの担当者  桑野 義久

天王寺区・東成区の売却担当エージェント
業界歴:17年
保有資格:宅地建物取引士、管理業務主任者、2級ファイナンシャルプランニング技能士、一級建物アドバイザー、測量士補、ハウスクリーニング士
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