2024-10-01
被相続人が生前に事業を営んでいた場合、根抵当権が設定された不動産を相続することがあります。
根抵当権は住宅ローンを組む際の抵当権と言葉は似ているものの、性質が大きく異なるため注意が必要です。
そこで今回は、抵当権の概要と根抵当権をそのまま相続する方法、抹消方法などを解説します。
大阪市で不動産を相続する予定のある方は、ぜひ参考になさってください。
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不動産を購入・売却した経験がある方であれば、「抵当権」についてはご存じだと思います。
抵当権とは、住宅ローンを組んで不動産を購入する際に、金融機関がその不動産に設定する権利のことです。
ローンの返済が滞った場合に、金融機関は抵当権の付いた不動産を売却し、その代金を残債の回収にあてます。
一方、根抵当権は事業者が利用できる権利であり、抵当権とは大きく異なる特徴を持ちます。
2つの権利が混同してしまわないよう、まずは根抵当権とはどのような権利なのかを確認しておきましょう。
根抵当権とは、極度額の範囲内であれば何度でも借り入れが可能とする権利です。
限度額は不動産の担保価値によって設定され、契約時に設定した限度額の範囲内であれば、何度でも借り入れがおこなえます。
根抵当権は事業者が利用し、企業名義の不動産を担保にするのが一般的です。
住宅ローンを利用する際の抵当権は借り入れのたびに登記が必要で、登記関連費用が発生します。
ただし根抵当権は初回の設定登記のみで良いため、登記にかかる費用や手間を軽減することが可能です。
スムーズに借り入れができるので、事業資金を調達する際に多くの事業者が抵当権ではなく根抵当権を利用しています。
なお、抵当権はローンを完済すると消滅しますが、根抵当権は返済が完了しても、当事者同士の合意がない限り抹消されません。
根抵当権が付いた不動産を相続する際は、なるべく早めに登記手続きをおこないましょう。
民法398条において「相続の開始から6か月以内に登記をおこなわない場合、担保すべき元本は相続開始時に確定したとみなす」と定められいてるためです。
元本確定とは、借り入れと返済を辞めて、その時点で返済しなくてはならない金額を確定することを指します。
元本を確定すると根抵当権は抵当権と同じ扱いになるため、それ以降の借り入れはできません。
つまり、相続開始後6か月以内に相続人が登記をおこなわないと、根抵当権を根抵当権のまま相続できないのです。
なお、相続放棄をしたい場合は「相続開始後3か月以内」が期限であるため、さらに手続きを急がなくてはなりません。
相続放棄とは、相続財産となる資産や負債などの権利や義務を一切引き継がず、初めから相続人でないものとみなす制度です。
相続放棄については、のちほど解説します。
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【要注意】負動産を相続した場合はどうしたら良い?スムーズに手続きする方法を解説!
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被相続人の事業を相続人が継承する場合など、継続した資金調達が必要になることもあるでしょう。
その場合は、不動産に付いた根抵当権を残したまま相続するのがおすすめです。
ここからは、根抵当権が付いた不動産をそのまま相続する方法について解説します。
根抵当権をそのまま相続する場合、まず債権者に連絡を入れなければなりません。
根抵当権の相続手続きには、債権者が発行する書類が必要なためです。
債権者などの金融機関に根抵当権をそのまま相続する旨を伝え、必要書類の手配を依頼しましょう。
不動産の相続人が複数おり、被相続人が遺言書を残していない場合は遺産分割協議をおこないます。
遺産分割協議とは、誰が遺産をどのように相続するか、相続人同士で話し合うことです。
遺産分割協議では相続人全員の同意が必要であり、誰か一人でも反対する方がいると成立しません。
なお、根抵当権が設定された不動産は、事業を引き継ぐ方が取得するケースが一般的です。
不動産の相続人が決まったら、登記手続きをおこないましょう。
必要な手続きは次の3つです。
相続登記とは、不動産の所有者を被相続人から相続人に変更する手続きです。
根抵当権の有無にかかわらず、不動産の相続後には必ずおこなわなければなりません。
根抵当権を相続する場合は、根抵当権の債務者を被相続人から相続人全員に変更する必要があります。
そこで、まず「根抵当権の債務者変更登記」をおこない、続いて「指定債務者の合意の登記」に進みます。
指定債務者の合意の登記とは、事業を継承する方のみを債務者(指定債務者)とするための手続きです。
これらの手続きは、相続の開始から6か月以内に完了させなくてはならないため、速やかに準備を始めましょう。
なお、指定債務者は根抵当権を引き継ぎますが、相続前の債務をすべて負うわけではありません。
相続前に生じた債務は、相続人全員に分割されます。
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【要注意】相続後に不動産売却する際の注意点とは?相続登記についても解説
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不動産に設定された根抵当権を抹消するには、そのまま相続する場合とは異なる手続きが必要です。
手続きの方法は、債務が残っているケースとすでに完済しているケースで異なります。
ここからは、相続した不動産の根抵当権を抹消する方法をケース別に解説します。
債務が残っている場合、不動産売却によって得たお金を返済に充てるのが一般的です。
残債の額よりも不動産の売却価格が上回っていれば、問題なく根抵当権を抹消できます。
しかし根抵当権の場合は、残債を返済するだけでは抹消手続きを進められません。
根抵当権は通常の抵当権のように、具体的な債権額が確定していないためです。
まずは元本確定によって債権額を明確にし、確定した債権を返済してから、根抵当権抹消の手続きをおこないましょう。
なお、不動産を売却しても債務が残るとあらかじめわかっている場合は、相続放棄を検討するのも選択肢の1つです。
相続放棄をすれば始めから相続人でないものとみなされるので、被相続人の債務を引き継がずに済みます。
ただし、相続放棄の手続きは相続開始から3か月以内に行わなければならず、また特定の債務だけを放棄することはできません。
現金や車どプラスの資産も含めて、すべての相続を放棄することになるので、慎重に判断しましょう。
債務が残っていない場合は、債権者である金融機関などと交渉し、合意を得られれば抹消登記を進められます。
なお、相続した不動産を売却する際は、根抵当権の抹消と相続登記をおこなわなければなりません。
不動産を売却せず相続する場合も、相続人が事業を継承しないのであれば、根抵当権抹消の手続きをおこないましょう。
事業を営んでいない限り、根抵当権を設定しておくメリットは少ないと考えられるためです。
将来的に発生する手間も考えると、手続きを後回しにせず、相続時に根抵当権の抹消登記をおこなうことをおすすめします。
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根抵当権とは、限度額の範囲内で繰り返し借り入れと返済を可能とする抵当権の1つで、主に事業者が利用します。
被相続人の事業を相続人が継承する場合など、不動産に根抵当権を付けたまま相続するケースは珍しくありません。
根抵当権の相続では、通常の不動産相続とは異なる登記手続きが必要なため、事前に流れを理解しておくとスムーズです。
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