2024-10-22
売却を検討している土地が、囲繞地である場合、スムーズに売れるかが気がかりになってはいらっしゃいませんか。
囲繞地通行権が行使されると、土地の利用に制限がでる可能性から、売れにくいといわれることがある囲繞地ですが、売却するために有用なポイントもあります。
そこで今回は、売却にあたって知っておきたい囲繞地の特徴や売れにくい理由、売却時のポイントについて解説します。
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不動産売却に取り組む際は、有効な売却方法を検討するうえでも、所有する土地が備える特徴を知っておくことが大切です。
まずは、囲繞地とはどのような土地なのか、特徴や概要にくわえて、囲繞地通行権も解説します。
囲繞地とは、「いにょうち」と読み、袋地に接して取り囲む土地を指します。
一方、袋地とは、他の土地が周囲にあるため、敷地が接する道路がない状態の土地のことです。
袋地は、無道路地といわれることもあります。
また、準袋地と呼ばれるケースもあり、周りを取り囲むのが他の土地だけでなく、河川や海などによっても道路に出ることができない土地のことです。
このような袋地や囲繞地が発生する要因としては、相続などにより、もともと広かった土地を切り分けていくなかで生じるといった経緯が挙げられます。
所有する土地を不動産売却する場合に知っておきたいことのひとつが、囲繞地通行権に関する知識になります。
囲繞地通行権とは、袋地と準袋地の土地をもつ所有者に与えられるもので、道路に出るために囲繞地を通ることができる権利です。
民法が袋地の所有者に対して認めている権利ですが、権利を使用するには、囲繞地の所有者に通行料を支払うことが原則となっています。
また、民法では通行料は1年ごとに年払いをすることを基本としていますが、金額については規定されてません。
そのため、金額の一般的な決め方は、袋地と囲繞地のそれぞれの所有者が、協議をして決定します。
話し合いで決まらないときには、周囲の相場を参考する場合や、裁判所が決める場合があります。
しかし、囲繞地を通るうえで、通行料が不要とされるケースもあるため、注意が必要です。
そのひとつが、土地を分筆したり、一部のみ譲渡したりしたことにより袋地となった場合です。
このケースでは、分筆などによって囲繞地となった土地だけを通ることができ、通行料は不要となります。
ほかにも、通行地役権が考えられるケースです。
通行地役権も、他の土地を通ることができる権利になりますが、囲繞地通行権とは異なり、当事者間の合意が必要です。
通行料に関しては、当事者間で決めることができます。
以前から、囲繞地の所有者が通行を無償で良いと認めていた場合は、無償による通行地役権があると解釈されます。
基本的に、囲繞地の所有者が、囲繞地通行権を拒否できないことは気を付けたい点です。
権利が行使される場合、通行以外に、ケースによって通路を設けられることもあります。
しかし、囲繞地の敷地内であれば、自由に通ることができるわけでなく、制限を設けることもできます。
基本的には、囲繞地の所有者がもっとも損害が少ないところとされており、別の土地に空き地があれば、そこを通るように交渉することも可能です。
分筆や譲渡で、袋地と囲繞地が生じたケースでは、分けられる前に1つの土地であった囲繞地だけを通るようになっています。
この場合、売却する囲繞地が、分筆前は袋地と1つとなっていた土地でなければ、通行を回避できることになります。
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袋地と接している囲繞地は、一般的な土地とは異なる特徴を備えており、売却時の影響が気になるところです。
ここでは、囲繞地の売却について、売れにくいといわれることがある理由を解説します。
囲繞地は、再建築が可能なため、袋地よりも比較的売れやすいものの、一般的な土地と比べると売れにくいとされる理由があります。
その理由とは、囲繞地通行権の影響です。
袋地の所有者が権利を行使することにより、売却後の囲繞地を通行される可能性があります。
囲繞地の所有者は、通行する権利を拒否することができません。
一方で、囲繞地通行権では、通行する位置は囲繞地の所有者にとって、損害や支障がもっとも少なく済むところとしています。
一般的に、通行するには、幅2mほどしか認められていないことも、囲繞地通行権による制限です。
袋地の所有者が道路に出るために通るには、通行料を囲繞地の所有者に年払いすることも、原則となっています。
このように、囲繞地の所有者へ配慮されている部分もありますが、「隣地に住む人でも通られることに抵抗がある」と考える方がいることも否めません。
そのため、売却時に囲繞地が敬遠されるケースがあり、売れにくいとされる理由になります。
通行される可能性に抵抗感があるといった理由のほかに、需要に影響する要素として、防犯面が挙げられます。
民法に定められているため、拒否ができない囲繞地通行権ですが、敷地内を通られることについて防犯面で不安とするケースもあるためです。
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囲繞地通行権の影響が、売れにくい理由とされることもある囲繞地ですが、売却することは可能です。
ここでは、売却するために、知っておくと有用なポイントについて解説します。
土地と土地の一部を交換することが等価交換ですが、囲繞地を売却するために取り組める対策であり、ポイントとなります。
たとえば、囲繞地の道路と接しているところの一部を、袋地の一部と交換するといったケースです。
接道義務をクリアする幅の土地を提供すると、袋地の所有者も再建築が可能になるといったメリットが生じるため、等価交換が進めやすくなるポイントです。
等価交換によって袋地の所有者が、自分の敷地から直接道路に通じることができれば、売却を考えている囲繞地の敷地内を通行されることはありません。
交換する資産が、同じ種類で同程度の価値であれば、譲渡所得税が課税されない特例が利用できる可能性も、等価交換のポイントといえます。
袋地から道路に出るために、囲繞地の敷地を通る権利はあるものの、無償での通行ができるケースばかりではありません。
囲繞地の所有者に対して、通行料を払うことによって、袋地の所有者がはじめて権利を実行できることもあります。
通行に抵抗がなく、通行料が得られることを利点と考える購入層を売却のターゲットにするのも、ひとつの手段です。
土地の所有によって利益が得られることに魅力を感じてもらえることが、この場合のポイントとなります。
隣地の袋地の所有者に囲繞地を買い取ってもらう方法も、一般的な土地として活用ができるようになるため、購入メリットを感じてもらえるでしょう。
この場合は、売却の相手となる隣地の所有者と良好な関係性が築けているかも、スムーズな了承を得るためのポイントといえます。
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袋地に接して取り囲む位置にある囲繞地を売却する際は、袋地の所有者の権利である囲繞地通行権を理解しておくことが大切です。
囲繞地通行権は、囲繞地が売れにくい理由といわれることもありますが、売却をあきらめる必要はありません。
等価交換など、売却するために取り組めるポイントもあるため、物件や条件に応じて適切な方法を検討できる可能性があります。