不動産売却における分筆とは?メリット・デメリットや分筆方法を解説

2024-11-26

不動産売却における分筆とは?メリット・デメリットや分筆方法を解説

不動産を売却する際、多くの方がさまざまな課題に直面されます。
とくに共同所有の土地を売却しようとしたとき、他の所有者の合意が得られないと手続きが進みません。
または土地の一部だけでも手放したいとお考えの方もいらっしゃるでしょう。
そこで今回は、不動産売却における分筆とはなにか、分筆するメリット・デメリットや手続き方法について解説します。

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不動産売却における「分筆」とは?

不動産売却における「分筆」とは?

分筆とは、登記簿上で1つとされている土地を、2つ以上に区分する手続きのことを指します。
分筆により、土地の一部のみの売却や、共有者間での合意形成が容易になります。

分筆の由来

では、なぜ土地は「筆」という単位で数えられるのでしょうか。
これは、かつて存在した検地帳(土地台帳)に由来します。
検地帳では、1つの土地に関するデータが1筆書き(1行)で記載されていたことから、「1筆=1つの土地」の関連付けがなされました。
検地帳に記されていた土地の広さや所有者などの情報の一部は、現在の登記簿にも引き継がれており、土地売買の基本的な情報として活用されています。

分筆の効果

分筆をおこなうと、土地の売却はより柔軟に、かつ効果的に進めることが可能です。
とくに広大な土地は、分筆によって土地を小分けにすると、個人の買主にも売却しやすくなるため、手続きがスムーズに進むこともあります。
分筆をおこなうと、法務局における登記手続きが実施され、元の土地が独立した複数の土地として登記簿に記載されます。
たとえば、100坪の土地を50坪ずつに分割し、それぞれに異なる地番を付与して登記することが可能です。
「分筆登記」と呼ばれる手続きを通じて、2つ以上の建物の建設や、土地の一部の売却ができるようになります。

分割・合筆との違い

分筆と似た用語に「分割」と「合筆」があります。
分割は、分筆と同様に土地を複数に分けることを指しますが、法的な登記をともないません。
登記上は一つの土地として扱われるため、分割は主に建築基準に合わせた土地の区分のために用いられます。
分割された土地では所有権の変更はなく、便宜上の区分けがおこなわれるだけです。
一方で、分筆は各土地を独立した登記として処理します。
これにより、それぞれの土地は個別の管理が必要となり、登記費用などの追加コストが発生します。
反対に、分かれている複数の土地を1つに統合する手続きが「合筆」です。
合筆をおこなうと、売却や管理の際の手間を省くことができ、一括での取り扱いが可能になります。
合筆は、複数の土地を1つの土地として売買契約や移転登記をおこなう際に、手続きを簡素化するために有効です。

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不動産売却における分筆のメリット・デメリットとは?

不動産売却における分筆のメリット・デメリットとは?

分筆登記は費用や手続きに手間がかかるため、事前にメリット・デメリットを理解しておくことが大切です。

分筆をおこなうメリット

分筆をおこなうメリットは、権利関係を明確にできる点です。
分筆をおこなうと、土地の一部を別々に所有や管理することが可能になります。
これにより、共有者間での権利関係が明確になり、後々のトラブルを防ぐことができます。
とくに、土地の一部のみを売却したい場合、分筆をおこなうと、売却したい部分のみを独立した登記として処理することが可能です。
これにより、一部を売却しても残りの土地を引き続き所有し続けることができます。
また、異なる地目を設定できる点もメリットです。
「地目」とは、土地の用途を指定するカテゴリです。
1つの土地内で異なる用途で使用したい場合、分筆で各部分を別々に登記すると、それぞれに適した地目を設定することができます。
たとえば、農地の一部に住宅を建てたい場合、分筆によって住宅用地として分け、農地とは別の地目を設定することが可能です。
分筆により、土地の用途に応じた効率的な管理がおこなえ、売却時にもそれぞれの地目に合った市場で取引することができます。
さらに、税金が安くなる可能性がある点もメリットです。
分筆をおこなうと、土地の一部が大通りなど高評価の条件から外れることがあります。
大通りから外れることによって、土地の評価額が下がることがあるのです。
評価額が下がると固定資産税や相続税の負担が軽減される可能性があります。
ただし、税金の減額効果を最大限に利用するためには、専門家である税理士に相談しましょう。

分筆にともなうデメリット

分筆により土地が狭くなると、建築する際の制約が増え、使い勝手が悪くなる可能性があります。
とくに、建築基準法で定められた建ぺい率や容積率などの規制に注意が必要です。
建ぺい率や容積率は、土地の面積に対して建築可能な建物の大きさや高さを制限するものです。
分筆によって土地が小さくなると、新たな建築や既存建物の増改築が困難になる場合があります。
したがって、分筆を検討する際には、事前に地域の建築基準を十分に確認し、計画を立てることが重要です。
また、固定資産税が高くなる可能性がある点もデメリットです。
分筆によって土地を分けることは、特定の条件下では土地の評価額を下げ、税金の軽減につながることがあります。
一方、建物が存在しない新たに形成された土地には住宅用地の減税措置が適用されないため、固定資産税が高くなる可能性があります。
分筆を検討する際には、これらの潜在的なデメリットを十分に考慮に入れ、専門家と相談しながら最善の決定をおこないましょう。

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不動産売却時に分筆をおこなう方法とは?

不動産売却時に分筆をおこなう方法とは?

土地の一部を売却する際には、売却をおこなう前に、まずは分筆登記の手続きが必要になります。
分筆登記を計画的に進めると、スムーズに売却活動への移行が可能です。
分筆から売却活動に至るまでの手順は以下のとおりです。

①土地家屋調査士に依頼する

分筆登記の手続きを進めるためには、まずは土地家屋調査士に依頼をすることがスタートとなります。
土地家屋調査士は、土地の測量や登記手続きに関する専門的な知識と技能を持っており、分筆手続きの全体をサポートします。

②分筆計画の作成

土地家屋調査士と協力して土地の事前調査をおこない、分筆の計画を策定しましょう。
売却したい土地の形状や面積、利用目的などを詳細に確認し、最適な分割方法を決定する流れです。
隣地との境界があいまいな場合は、境界確定測量をおこないます。
境界確定測量をおこなう際には、隣接する土地の所有者の協力が不可欠です。
測量当日に隣地所有者の立会いが必要となるため、測量計画を立てる前に隣地所有者に挨拶し、協力を依頼することが望ましいです。

③不動産会社との協議

分筆計画を立てる際には、不動産会社とも密接に連携しましょう。
不動産市場に精通している専門家からのアドバイスを受けると、売却対象となる土地の価値を最大化する分割方法や、市場の動向に合わせた売り出し戦略を計画することができます。

④分筆登記の実施

分筆計画に基づいて、土地家屋調査士が測量をおこない、必要な書類を準備します。
その後、法務局に分筆登記を申請する流れです。

⑤売却活動の開始

登記完了後、不動産会社を通じて売却活動を開始します。
市場のニーズに応じた適切な価格設定や販売戦略が重要となり、効果的な売却のための広告を実施して買主を探します。

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まとめ

不動産売却における分筆とは、1つの土地を複数に分けて登記する手続きを指します。
分筆すると、地目の変更や税金の評価額が下がるメリットがある一方で、使い勝手が悪くなったり、固定資産税の軽減措置が適用されなくなったりする恐れがあります。
分筆方法は、土地家屋調査士に依頼して事前調査や境界確定測量をおこない、登記申請することです。


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